「キー」がぶっ飛んだので、助かった?
皆様、ご機嫌はいかがですか?
先日、旧ボートオーナー様より
ワインをいただいてしまいました。
「マザーレイク」琵琶湖のある滋賀県のワインです。
残念なことに2晩で中身が無くなってしまいました。
大変おいしゅうございました。
K様、有難う御座いました。
少し前ですが、スリップした8CMHLのプロペラを
勉強の為、分解いたしました。
スプライン式のプロペラの構造は写真のように、
ゴムに覆われたボス(プロペラボス)が圧入されています。
これは、プロペラが異物に強かにヒットしたとき、
ここでスリップすることでギヤやシャフトなどに
被害及ばないようにするための工夫です。
(でも、被害が及ぶ場合もあります。が、衝撃の緩衝には
なるので、損傷は少なくて済んでいると思います。)
またスリップ発生後も、高速ではプロペラシャフトだけぐるぐる
まわって進みませんが、低速なら走れる場合もあります。
高馬力/高速艇の場合、プロペラの冷却が出来ていないと
排気熱でゴムが解けてスリップする場合もあります。
皆様、たまにはプロペラを外して、確認をお願いします。
さて、水没したTOATSU MFS2Bの修理を実施させていただきました。
運転中、エンジンが掛かったまま半水没(バーハンドルを持って、
完全に水没するのは免れた)したあと停止し、
その後、始動不可となったとのことです。
掛かったまま水没すると、ウォーターハンマー
(キャブレターより海水を水吸い込むが、水は空気のように
圧縮できないため、エンジン内部が重大な損傷を受ける)
が、心配です。
まずガソリンを確認します。
海水は入っておらず、ほっとします。
パワーユニットを分解して内部を確認します。
過去にはコネクティングロッドが折損した船外機もありました。
1日でプッシュロッドの一部に錆が出ています。
恐るべし海水パワー・・・
クランクシャフト及びコネクティングロッドの
大端部のメタル部分も、大きな損傷は
ありません。助かった~
その他も、損傷は見当たりません。
エンジンが掛かったまま落ちて、停止したのに
水を飲まなかったのか?
いや、内部の錆があるので、飲んだはずだが、
緊急停止スイッチがうまく作動したのか・・・
1箇所、強烈な衝撃の痕がありました。
クランクシャフトとフライホイールの位置を決めている
「キー」が割り箸のように真っ二つにぶっ飛んでいました。
こちらはフライホイール側・・・・
運よく、瞬時にキーがぶっ飛んで、
ウォーターハンマーの衝撃を吸収してくれたのですね。
まさに、プロペラのボスがスリップする様に!
オーナー様に修理金額を連絡し、OKをいただいたので
部品を手配し、修理に掛かります。
シフトレバーも作動が硬くなっていたので
分解のついでに修理します。
完全に固着してからだと、レバー修理だけで高く付きますので
転ばぬ先のなんとやらです。
まだ作動していたので、10分ぐらいの格闘ではずれました。
塩まみれになっています。
ドリルで固着した塩を取り除きます。
アンチコロージョン性の高いグリスDと
摩擦性能及び水分離性能の高いグリスAを
どちらも使って、簡単に固着しないように
しました。
当然、Oリングも新品に交換。
タペット調整を先にします。
MFS2Bタイプはアンダーカウルとのオーバーラップが多く
完全に組んだあとではタペットカバーが外しにくいので。
(時間かければ外せます)
エンジンオイルドレンのパッキン(ワッシャー)を
確認すると、変形が見られたので交換します。
このワッシャー、できればオイル交換のときは
毎回交換をお勧めします。
1枚¥76円(2017年現在)です。
組立て完了、試運転も完了いたしまして、
昨日、愛するオーナー様の元に帰っていきました。
MFS2B君、今後もがんばって活躍してね。
さて、昼休憩あとのこれからは、私の愛機BF2D4より前の
BF2DXの修理の続きです。
お父様から引き継いだということで、大切にされています。
雨が降ってきました。
秋の長雨にならないようにお願いしま~す。
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