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101回目のオーバーヒートは?

皆様ご機嫌はいかがでしょうか。

私の腕に数日たっても残る六角の焼き印、これは

炎天下にも関わらず塩噛みした何本ものボルトを外そうと

BF225A6と戦った証なのです。

(単にバーナーで焼いたボルトに触れてしまっただけですが・・・)

先週、雨で延期となった2007年式(15年前)のBF225A6の修理と

総合整備に行ってきました。

今回は不具合原因が絞れていない過酷な状況なので

業界の先輩に補佐を依頼しました。

7:30に集合し、涼しい内に作業開始します。

初めに上下左右のカウリングを外して裸にしていくのですが

いきなり検水口のつまりを発見!

小石?貝殻?

翌日の試乗時にオーナー様に聞くと、やはり水がチョロチョロだったようです。

私が上、先輩が下を分解していくのですが、先輩の方が手が早いので

先にギヤケースが外れたので、一緒に水回りの整備から開始しました。

インペラー類を交換しました。

事前に業者様よりお聞きしていた情報としては

・加速時に振動する

・釣りの間掛けっぱなしにしていたあと、エンジンがシャクった

・帰港時にエンストした

・ガス欠?みたいな感じがした

さらに現地に行ってからスタッフさんから聞いた情報としては

・アイドル時の回転が高いので、調整してほしい

とのことで、今回は原因が絞り切れずの出動となっていました。

PC診断すると、オーバーヒートの履歴が100回ほど残っていました。

多分、それが原因かと水回りを徹底的に分解していきます。

ウォーターパイプの上側のグロメットが15年間の内に

蓄積された塩で変形していました。

ここの「塩掃除」と「グロメット交換」は

謎のオーバーヒート時には効くことが多いです。

で、ここまで分解するのに下側のダンパーのカバーのボルトが

6本中3本も塩噛みで緩まず、バーナーで焙っては緩めてを

繰り返していて、腕が当たって「ジュ~♪」

「あっつぅいいいいいい~」

「Hちゃん、大丈夫か?火傷したんか~ハハハハッ」

と、最初の写真となりました。

先輩は私が分解した部品の表面を整えたり、

傷んだボルトを修正したり、言わなくても勝手に進めていくので

すごいスピードで作業が進みます。

排気管も外して水の通りを掃除したり、アノードを交換したり

気が付いたらあとは戻すだけになっていました。

キリのいいところでお昼に行きます。

ここのマリーナには美味しいイタリアンが有って

実は楽しみにしていたんです。

私はパスタの、先輩はピザのランチセットを食べました。

クルマなのでワインが飲めないのがつらいところです。

昼から続きを、

スパークプラグは6気筒ともきれいに焼けていて

燃焼系に異常が無いことを主張していました。

たまに自分で直そうとしてプラグ交換して古いのを捨ててから

自分で直せないと修理依頼を頂くことがありますが

古いプラグが無いだけで、不具合の調査に

すっごく時間がかかってしまうことがあります。

古いプラグは絶対に捨てないで!

なお、ホンダ船外機に限ってですが、

2~3年でスパークプラグを定期交換していたら、

かなりの確率で、プラグ自身は不具合の原因にはなりません。

午前中に下の水回りを終わらせていたので

午後は上周りのタイミング位置チェックやベルト交換や

サーモスタット通路の掃除や交換にかかります。

ジェネレーターベルトの張り具合で珍しく意見が分かれ

「これ、きつくないですか?」

「最初に伸びるから、まだ緩いくらいやで」

亀の甲より年の功、「ハイっ」と従います。

この高圧側燃料フィルターを交換せずトラブルになっている人

何度か見たことがあります。

少し奥にあるので面倒ですが、特に自分で給油している方は

最低でも3年おきでの交換をお勧めします。

マリーナ給油なら5年おきぐらいかな?

うそか本当か、アイドル回転での不調の話を聞いたので

バルブクリアランス調整、スロットルボディーの清掃、

EACVの清掃、スロットルワイヤーの微調整を実施しました。

真っ黒に汚れていました。

これ、どうしても汚れてしまうものですが、

エンジンオイルを入れすぎると汚れるのが早い気がします。

レベルゲージの9割の位置になるようにしてください。

普段、1人なら2日、お手伝いのKさんに補佐をお願いして

1.5日掛かる総合整備が先輩とだったら、なんと

1日で終わりました。

但し、7:30~19:00まで昼休憩だけでやりましたが。

先輩、休憩もせずに炎天下で仕事させて申し訳ありません。

1日目の最後に陸上試運転をして整備の状況を

PC診断します。

水道ホースでの試運転だからか少し水温が高いのですが

それ以外は問題なさそうです。

水温は最終、海上に付けてから再チェックになりました。

19:00なのでマリーナもう下架してもらえないですから。

あと、PC診断でランプテストしてみたら、

1階も2階も2灯式PGMインジケーターランプが点灯しないことが

発覚しました。

時間切れで翌日に持ち越しとなりました。

家に帰って夜は、日焼けと火傷でヒリヒリしながらも

10時間の猛暑の戦いで疲れていたからか?爆睡。

さて翌日、9;00にマリーナさんに下架してもらいます。

私はパソコン診断の続きです。

先輩は床下やトイレに潜って、2灯式PGMランプの

点灯の不具合を探っていきます。

最初、高めだったので気になったのですが

時間が経つにつれ、15年選手なりの平熱になりました。

各部の塩の除去掃除が効いたのでしょうか?

次に先輩に運転をしてもらって、海上試運転に移りました。

PC診断機をつなぎっぱなしにして、沖に出ます。

私が2階の先輩に走る回転数の指示を出して

そのrpmで走っている時の冷却温度に異常が無いか

確認します。

まずデッドスロー

977rpmで右の水温センサーの感知温度が48℃

左の水温センサーの感知温度が50℃です。

このBF225A6には温度センサーが3つ付いているのですが

私はいつも、右側と左側で判断しています。

細かな水温コントロールをしているHonda船外機の

面目躍如といったところですね。

私達はいつも、数値で健康診断できるので

お客様に言葉を濁さず説明出来て助かっています。

(出来ればいつも、こういったエンジン機種ごとの

長命の為の整備講習会をしてほしいと願っております。)

次にハンプ直前状態でわざと連続航行してのチェックを・・OKです。

次は、「できるだけ飛ばして~」と

少し波風があるのでボートがジャンプするのですが、

私は怪しいどこかの教祖さまの空中浮遊のように

PCを直視したままアグラをかいて座ったまま

何度もお尻がデッキから空中に離れて・・・

4907rpmで右56℃、左56℃でした。

温度から考えるとゴミでもひっかけない限りは

101回目のオーバーヒートはしばらく無いと思います。

帰って、もう別日の作業になると思っていたのですが

先輩は桟橋で2灯式PGMインジケーターランプの

不点灯の原因を調べると聞きません。

テスト用にと今朝5:00に起きて会社に寄って持ってきた

コードとランプを接続すると、正常に点灯するので

エンジン側の異常ではないのが判明しました。

「1階も2階も点灯しないので、船体内で断線ですよ、

半日かかりますよ」

「昼から依頼業者さんとオーナーさんが試乗に来られるので

もう時間が無いですよ、先にメシに行っときましょう」

「別の日に1人で修理に来ますから」

先輩には私の言う言葉が聞こえなくなったようで

ひたすら床下を探りまわして

「Hちゃん、あった、あった、ほら、ここや」と

2階からの配線が、他の配線と絡まっている部分でカプラーが

抜けているのを発見しました。

絡まったGPSなどの配線をほぐして、カプラーを接続すると

2階のランプが復活しました。

「次は1階のランプや」

あとオーナーさんが来るまで2時間を切りました。

先輩の目は血走って、獲物(故障個所)を探す

獣の目となっています。

先輩は発見しました、

なんと、1階運転席に通じる配線を通すパイプの

丁度前からも1.5m、後ろからも1.5mの中ほどで

カプラーが外れていました。

しかもそのパイプは、GPS魚探などの配線でいっぱいとなっていて

3P平カプラーさえ通せるかどうかのギュウギュウです。

「詰んだ」

と思った私を尻目に先輩はダッシュでクルマへ行って

「細い配線通し」と「4芯のケーブル」を持ってきて

「線(ケーブル)だけやったら通せるわ」

と、

あっという間に半田で繋いでしまいました。

当然、1階もランプは点灯し、直りました。

先輩に感謝です。

そのあと先輩のお客さんが経営しておられる、

関西ならどこにでもあるラーメンチェーン店に行って

速攻で昼食を済ませ、

13:00になってオーナー様と依頼業者様が来られたので

最終確認の海上試運転をしました。

少し波風が有ったのでオーナー様はあまり沖に出られず、

近距離での確認となりました。

現在、1400時間、あとどれくらい使えますかと言われたので

「整備をしながらなら倍は行けます、4000時間ぐらいになったら

そろそろを言う話をすることが多いです」と言ったら

「まだまだですね」と言われていました。

無事すべて終了し、完了となりました。

有難う御座いました~。

 

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