船外機のリコイルスターターのまじめな話
本日は珍しく、まじめなお話です。
今日、通販で船外機を販売しているショップさんより
アドバイスがほしいと動画が送られてきました。
新品2馬力を購入したお客様より、エンジンが掛からないとのことで
陸上で水槽に漬けて、実際の始動手順を撮影されていました。
「燃料よし」
「キャップエア抜きよし」
正確に始動手順を点検されていきます・・・
「セーフティーコードよし」
「コックよし」
すべてが完璧で問題ないです。
さあ、あとリコイルスターターを引っ張って、始動させるだけです。
緊張して動画を見つめます・・が、そのとき
「スコスコスコ・・・スコスコスコ・・・」
ああっ、それでは掛かりません。(泣)
あまりにも引っ張る強さが弱いです。
すぐにショップに電話して、店員さんに
「両手で、紐がちぎれるぐらい強く勢い良く引くように
お伝え下さい」と言いました。
たぶん、そのままは伝えないでしょう。
また、ロープの長さと人間のストロークの関係性から
ちぎれることも有りません。
たまにいらっしゃいます、引く力の弱い方。
以前、柔道家かというぐらい立派な体格の方が
「通販で買ったが掛からない」と持込され、
結局、引く力が弱かったのが原因だったことが有ります。
年間3~4名、同じようなケースでHondaやTohatsu2馬力を持込されます。
来たときは大変怒っておられますが、私が一瞬でエンジンを掛けるので
怒りも一瞬で消え、ニコニコでお帰りになられます。
昔、50馬力をリコイルでなかなか掛けられず、会社の先輩に
「ひ弱か!」とパドルで頭を「どつかれていた」私にとっては
2馬力のリコイルは楽勝なのですが、
初めて船外機を買った方には今まで見たことが無いこともあって、
仕方が無いのでしょう。
これから初めて船外機を買う方に言います。
そう、リコイルスターターを引く時は
①ゆっくりロープを引き出し、少し重くなったところから(位置)
②勢い良く(スピード)
③力いっぱい(パワー)
③時には両手で(Wパワー)
④ロープを一気に全部引き出すくらいの気持ちで(メンタル)
引っ張ってください。
引っ張りきったあとの姿勢は、上記の写真のように
利き手が「さあ、これから殴ろうか」の体勢でSTOPした
体勢になっていると思います。
そう、矢吹ジョーがクロスカウンターを繰り出す直前のような・・・
力の弱い方は同時に少し体を反らせたり体重移動して、引っ張る腕力に少し体重を乗せると
さらに効果的です。
一度掛かると、そのあと停止しても、温度や残った混合気などの加減で
次からは軽く掛けることができますが、
長期保管後や新品は燃焼室はカラッカラの砂漠状態で
湿り気が有りませんから
①リコイルスターターを思いっきり引っ張って、
②長い距離ロープを引き出し、
③そのことでクランクシャフトを何回も回して
④ピストンが何度も往復し、負圧を起こし
⑤その負圧でキャブレターから混合気が燃焼室に引っ張り込まれ
⑥そのうちやっと来た正確な混合比の混合気を圧縮し
⑦スパークプラグが着火したら、
エンジンが「ぶるん」と掛かると言うわけです。
「リコイルスターター」での作業は一瞬ですが、
たくさんの部品がたくさん仕事をしている訳なんです。
陸上で掛けるとき、力の弱い方は、力を掛けても倒れないスタンドに固定するか
船外機を隣の人に倒れないように補助してもらってから
両手で引っ張りましょう。
ちなみにこの人、だれでしょう?
わかるかな~
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