欠けたスケグの溶接は、意外と大変なんです。
皆様、ご機嫌はいかがでしょうか?
GWは天気にも比較的恵まれ、マリンスポーツ絶好調
といったところでしょうか?
さて先日、弊社のことを、どなたかに聞いたとのことで、BF15Dの修理の
お電話をいただきました。
聞けば、スケグが割れてしまったとのことです。
ワタクシ、基本的のこの手の溶接はお断りしております。
但し、条件がそろった場合のみ、お受けしております。
その条件というのは・・・
1、ギヤ部より離れて欠けている。
2、欠けた部分(部品)が有る。
3、溶接修理の特性をご理解いただいた方。
等です。
溶接でくっついても、所詮「鋳物の溶接」ですので、
溶接部(縫い目みたいな部分)のすぐ脇は高熱で
逆に弱くなっているので、再度ぶつけた場合は溶接部に沿って
簡単に欠けることになる場合があります。
今回は全ての用件をクリア!
で、溶接の準備の為、熱に弱いプラスチックや、他の大事な
部品をはずしていきます。
「ありゃりゃ~(ルパン風に読む)」
インペラーをはずそうとしたら、バーチカルシャフトごとすぽっと
抜けてきました。
一番したのEクリップが、脱落しています。
このギヤケース・・・
ステンレスプロペラを使っておられのるで、
ピニオンギアが逃げるぐらいの衝撃をうけたのでしょうか?
全部ばらばら決定です。
ちょうど良いので、さかさまにしてプロペラ軸の穴から
ギヤオイルを排出させていただきました。
中身を全部とって、準備が出来たら、十数年のお付き合いのある
溶接のプロのところに持っていって、溶接してもらいます。
こちらのMさん、某有名百貨店の手すりなども依頼が来る
この道40数年のプロ中のプロです。
指導して巣立っていったお弟子さんがたくさんおられます。
そう人工衛星も打ち上げる、有名な東大阪の工業団地におられます。
私の周りの環境内でできる範囲の、最強の溶接です。
きれいにくっつけていただきました。
溶接部を完全に削って面を出すと、強度が低下するらしいので、
段が全部無くせません。
少し「モコッ」としていますよね。
「サンダーで『ジャ~』と削って、段を無くせば楽だよ」と
悪魔が耳元でささやきますが、
Mさんに「駄目だよ、弱くなってお客さんがかわいそうだよ」と
念を押されて、帰ってきました。
さて、今から、部品の入ってきたBF9.9Aの続きと、
このケースの仕上げをおこないます。
ケース交換より安く付いて、ラッキーでしたね。
あっと、欠けたパーツがない場合、同じギヤケースの
スクラップを探して、そこから部品取りならぬ「スケグ取り」をし、
欠けた部分と同じ形に時間を掛けて削って・・・・・
と、していると、探したり、削ったりしている時間工賃で
ケースASSYが、買えたりするかもしれません。
「高くても溶接のほうがいい♪」と言った方、過去におられません。
しかも、そうそう都合よく、スクラップ無いですし。
アルミでも種類がいろいろあるようで、とくに鋳物と板は
きちんとくっつかない(形だけくっついても)とか?
昔、どうしてもHONDAのスクラップが手に入らず、他社さんのから
欠けたパーツを作ってみたのですが、やはり完璧にくっつかない
場合もあるようで、仕事がやりにくかったと、怒られたことあります。
しかし200HPぐらいになると部品代が高いので、溶接のほうの
強みがでてきます。
私と違って、ご自分できっちり溶接されるマリンの修理屋さん
もおられると聞きますが・・・
簡単そうに見えて、意外と大変なのです・・・・・・・・・・
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