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古い船外機への・・・

皆様、ご機嫌はいかがでしょうか?

昨年の夏に下取したBF150Aを再販に向けて整備しております。

「出来上がったら見たい」と言う人もいるのではありますが

本田技研さんが船外機の値下げをしたおかげで、ずっと忙しくて

やっと余裕ができて、本格的に作業を始めて・・・ああっ

パワートリム&チルトの修理をしようとしたら塩害で強烈に固着していて

外すのに2日掛かりました・・・

PTTは修理痕が有ったので、リビルド品と交換することに。

耐久性抜群のHonda船外機ですからエンジン本体は絶好調なのですが

いろいろ細かな部分の修理を実施しています。

知らずにオークションなんかで現状で買っていたら、いきなりPTTの故障で

地獄を見るパターンですね。

また忙しくなる前に、完成させなければ。

さて、たまに20年ぐらい前の2スト船外機の修理を依頼される場合があるのですが

すっごい慎重に打ち合わせやご説明をしないといけないケースがあります。

今回もそのような修理のお話です。

常連様のご紹介で、Tohatsu M8Bの整備のご依頼が持ち込まれました。

ミニボートと一緒に購入されたそうです。

2004年製造ですので、ちょうど20年経っています。

産業機械で20年、毎年のように定期点検をしていれば別ですが

古いのは大体、「壊れてから修理」が多いでしょうかね。

なので冷却水インペラーも「壊れてから修理」が多いからか

オーバーヒートを食らったような物も散見されます・・・

今回は点検と「キャブレターの分解整備」と「燃料ホースASSYの交換」のご依頼です。

エンジンはすぐ掛かるのですが、なぜかベースアイドルが1450rpm付近と高く

ベースアイドルスクリューは固着しているので、少し前からこの回転で

使っていたように感じます。

で、頑張って正規の回転に戻して(苦労しました)試運転していると

だんだん回転が落ちてきて、そのうち停止します。

キャブレターかなと思って分解すると、きれいなので

多分誰かがクリーニングしています。

ではと他の原因を調べると、冷却水の温度が27℃付近より上がりません。

このM8Bには52℃のサーモスタットが入っているので、

あまりにも設計者の意図と離れた温度と思ってトーハツさんのサービスセンターに連絡して

意見を聞いてみると、やはり27℃はおかしいようで「多分壊れてますよ」と同じ考えでした。

低温すぎるとエンジンの燃焼が悪くなるので、どうするかオーナー様に電話します。

特にこの年式だとボルトが折れるケースが多いので・・・

状況説明、リスクなどじっくりとご説明します。

GOになったので、分解をしていきます。

M8Bはシリンダーヘッド内にサーモスタットが入っているので

ヘッドボルトを外すと、「んんっ、なんだーこのシリコンのカスは?」

何故かシリコンが付いています。

一度分解しているようですね。

サーモスタットが見えました。

排水弁の部分が荒れて、密着しなくて、リークしていたようです。

これでは温度が保てなくて当たり前です。

スクレーパーやオイルストーンで面を整えていきます。

地味で時間が掛かりますが、手抜きできない作業です。

やっと整いました、黒っぽい部分はアルミがアルミで無くなりつつある部分で

(オーバーヒートなどを起こすと金属が反ったりしてガスケットの密着が

無くなると、その部分に海水がしみて電気腐食していく)

銀色の部分がまだアルミがアルミである部分です。

20年選手なら、まあこんな感じでしょうか。

オーバーヒートによる「反り」も無かったので再使用できそうです。

ここまで精査しないと部品が要るか再使用か正確に判断できません。

シリンダーブロック側も同じように整えていきます。

ねじ山を整えていると何かが「ポロっ」と取れました。

パテでした。

後から精査したら、このネジ山はきれいにリコイル処理されていました。

過去にヘッドを外した時にボルトが折れたのでしょう。

シリンダー壁には、20年選手ですので多少の傷は覚悟していましたが

少々深めの傷が2本、2番シリンダーにありました・・・・・

これらの傷は見た目通り、性能の劣化のにつながります。

オーバーヒートさせて油膜切れがおこったのかな?

次に、先に書きました、キャブレターの固着したベースアイドルスクリューも

苦労して外したら、曲がっていました(外すとき曲がった?)

これも大切な部分なので、交換します。

新品に交換を希望された燃料ホースASSYですが、外れません・・・

それで依頼されたのかな?

タンク側のコネクターオスと一緒にいったん外して万力で

挟むなどして、やっと外れました。

錆ついて固着していましたよ。

で、やっと見積もりの計算が出来て、常連様のご紹介なので

かなりサービス価格にしたのですが、

オーナー様にお電話して伝えました。

OKが出たので、部品を注文して、明日には届く予定です。

あと「これで新品同様に戻るのですね」と言われましたが

いえ、戻るのは冷却水温度(と燃料ホース)だけです。

ここで「ハイ、戻ります」と言ったら私は嘘つきになります。

今回はだいぶ写真も多くして、丁寧に説明を書いたつもりですが

あとは古い船外機への「皆様のご判断」なり「考えかた」にお任するしかないです。

さあ、仕事に戻りますか!

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