パソコン診断は魔法の機械にあらず
皆様、ご機嫌はいかがですか。
Honda V6船外機の整備が続いております。
ステアリングのヘルムポンプから作動油が漏れていたのでシールを交換します。
ユニカス/ニッパツは表から交換できます。
新しいモデルはマロールも表から交換可能です。
当たり前ですが先にハンドルを外します。

プーラーでハンドルを外します。
次に、ワッシャをはずしてシールリングを慎重に抜き取り
新しいのと交換します。

新しいシールを入れるときが一番しんどいです。
でも入れないと終わらないので、必死です。
ここで器用な人とそうでない人の差が出ると思います。
素人で初めてする人は80%の人が「やらなければよかった」と後悔するかもしれません。
プロに電話しても、言葉で説明できるものではありません。
専門家に任せるところです。
パソコン診断をしました。
お客様の一部の方ですが、パソコン診断は魔法の機械で
どんな故障も一瞬で教えてくれると思っている方がおられます。
各センサーが完全に故障している場合は教えてくれますが
ふつうはそんなに楽ではない。
「スロットル開度センサー」と「ノックセンサー」の過去の故障履歴が有ります。
修理で先入観を持つのはNGですが、こんなもの簡単に故障しない

メーカーのIさんに電話して知識の不足を補った後
エンジンを始動し、数値をモニターしていきます。
まずはスロットル開度センサーです。
弁の開き角度を知らせるセンサーです。
当然、スロットルレバーを「ブウン、ブううん」と吹かすと

数値が「パラパラパラ~」と変化しますので、センサーは反応しています。
次はノックセンサーです、信号無しと出ていました。

「ノックセンサー電圧0.04V」
「ノックリタード量4.0」が表示されました。
信号も来ているし、断線もありません。
各数値は過去の情報やメーカー指針、あと最終的には
運航して再度同じエラーが記録されるかどうかで判断したりします。
ここからは推測ですが、過去に修理した誰かが、キーONのまま
センサーの配線やカプラーを抜いてしまったのでしょう。
適当に抜いたらダメです、故障診断がややこしくなります。
滅多に故障しないので・・・現時点も故障していませんし・・・
次も過去の運転履歴からの故障診断です。
過去に55回もオーバーヒートを記録しています。
これはちょっと、多すぎます。

実際にエンジンを始動して、エンジンの状況をモニターしていきます。

何と、左についているエンジン温度センサー3は33℃なのに
右のエンジン温度センサー2は88℃になっていて
あと2℃でオーバーヒート感知/アラート(警報)ブザーが鳴ります。
同じエンジンですが左右で温度がかなり違います。
実際に外からの温度を計っても、左は40℃ですが・・・

右は77℃で、倍ぐらい違います。

パソコンと実際の温度計、55回のオーバーヒート履歴の
3つの情報から
①オーバーヒートしやすいエンジン状態
②オーバーヒートしているのは右側
と言う事がわかったので、
左も確認修理しますが、右の方を重点的に修理を実施する方針となりました。
パソコン診断やAIがここまで導き出してくれるなら楽ですが
残念ながら、自分で考えて判断しないといけません。
現状、異常が有るとアラート(ブザー)が鳴って
警告灯が点灯しているのではありませんから・・・
オーナー様よりOKが出て、部品の到着を待っているところです。
年内にあと数台、大きいヤツの修理が有ります。
本格的な寒波が来るそうですね、でもファイトです・・・
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