めっちゃ大切
皆様ご機嫌はいかがでしょうか。
先日の台風14号は、大丈夫だったでしょうか?
もし被害にあわれた方が居られましたら、お見舞い申し上げます。
さて、ずっと続いていたTohatsu船外機の持込修理が一段落したと思ったら
Honda BF2Dがやってきました。
エンジンの始動不良です。
私がいつも心の中で勝手に言っている
「遅くなる(と思っている)羽根」が付いています。
たまに口が滑ってヒンシュクを買っていますが。
2馬力5馬力用の試運転水槽に入らないので
8馬力~20馬力用の水槽を使います。
水を大量にためないといけないので、少し大変です。
昔、前の会社でまだ私が新人の頃、トーハツボートをたくさん
買っていただいていました。
(毎月1隻なんてものではなく、もっと多かった時も)
本当にありがたいお話ですが。
とあるお客様とTF235/M140A2の商談で打ち合わせをしていた時
西武マリーンカタログ(現在のユニマットカタログ)を見て
お客様が「これ、付けてくれ」と言われたのが
「スティングレースタピライザー」でした。
私も、買っていただけるので喜んで「はいはい」と
2つ返事で見積もりに加え、サービス部のT係長に
Tohatsh M140A2船外機のアンチキャビテーションプレートに
付けてもらって「かっこいいな」と喜んでいたのですが・・・
進水式後の初航海でトラブル発生、
速度が上がるほどステアリング操作が、苦痛なほど重くなり
(機械式ステアリングだった)
最高速度は遅くなり、
走りも気のせい?か不自然でポーポイズ気味で
お客様は、「なんでこんなもん付けたんや~」と超激怒。
お客様が付けてほしいと言われたのでと言い返すと
「こんなことになるなら先に言え」とさらに激怒。
こんなことになるとは知りませんでしたと、
結局謝る羽目に。
(さすがに言った手前、返品とかは言われませんでしたが、
今から考えたら、常識のある方で良かったです)
帰って調べたら、
「プレーニングの遅いボートに効果がある」とのことで
TF-235/M140A2は一瞬でプレーンする「俊足」でしたから
それこそ「蛇足」だったという事で関西人としては最悪のオチに。
あと、プレジャーボートにはブレーキが不要なほど水の抵抗が大きいので
水中の体積を増やすと、抵抗が増えて速度が落ちるのは
理論上当たり前です。
海藻などゴミも引っかかりやすくなるでしょうか。
とはいえ、最終的には実験して証明してみないと
速くなるのか、遅くなるのか、変化が無いのかはわかりませんので
いつか実験してみたいと思ってます。
話を元に戻して、エンジンが掛からない理由を調べるとき
「電気系の故障」なのか「燃料系の故障」なのか
調べる方法の一つですが、
(以下の作業を実際にされる場合は自己責任でお願いします
なにか間違えて火事になっても私は知りません)
私はスパークプラグを外して防錆潤滑剤(5-56とか写真のコーナンの
防錆潤滑剤でも良い)を少しだけ内部に吹いてから
すぐにスパークプラグを戻して、プラグコードを付けて
リコイルスターターをひと引きします。
一瞬「ボボっ」と爆発したら燃料系の可能性が高く
全然爆発しないなら、電気系から調査に入ります。
このBF2D6は「ボボっ」と白煙を吐いて爆発したので
キャブレターの不調から調査していきます。
まず根源の燃料タンクを調査します。
まだ使えない事は無いが、古いガソリンと思います。
(色、におい)
もったいないですが、明らかに古いやつは、
最後のキャブレター調整の時に足手まといになるので
今回は捨てました。
スパークプラグも同様です、明らかに古いやつは無条件に
交換します。足手まといは嫌です。
燃料に水は一切入っていませんでした。優秀です。
キャブレターを分解したところ、お手本のようなメインジェットの詰まりです。
キャブレターのドレンスクリューが開けられなくなって
長期保管時に燃料の排出が出来なかったということです。
交換組立が終わったので、最後は陸上試運転です。
来た時、パイロットスクリューが規定より少し
なぜか締まっていました。
新しいガソリンも入れて、慎重に微調整します。
規定値よりほんの少し開けた方が
調子は良かったです。
素直に治りました、良かったです。
次は、今年の3月に弊社で購入いただきました
BF2DHです。
高回転は維持できるが低速でエンストします。
お客様の目の前で燃料タンクを外し、ガソリンを容器に開けます。
「あっ、水が入っていますよ」
少量ですが粒粒っと水が入っています。
お客様、お時間に余裕が有るという事なので、
2時間ほどお時間を頂き、キャブレターOHに挑戦します。
(その間お客様はどこかにお茶をしに行っていただきます。
見られていたり、話しかけられると時間がかかるし
集中力が途切れるので・・・)
分解していくと「あれっ」
メインノズルの下側1/3ほどが緑っぽく変色しています。
これで、一時的にガソリン以外の液体がキャブレター内に
下から1cmほど沈殿して溜まっていたことが確定です。
キャブレターを分解して、数十分、私が絶大な信頼をしている
ヤマルーブキャブレタークリーナーを吹き付け、通路内を通し
掃除します。
「直ったかな」と組付けますが、全然ダメ・・・
1mmも直っていない、修理前と一緒の症状です。
試しにテスト用に使っている中古の年季の入ったキャブレターと
入れかえると、全く正常運転できますので
焼き付きも無く、電気系なども正常という証明です。
(左がテストキャブ、右がお客様のキャブレター)
仕方ないのでお茶をしているお客様に連絡して
戻ってきていただきます。
今までの状況を説明し、キャブレター交換しか方法が無いことを
説明します。
(夜、お客様が帰られた後、2度目の分解清掃もしましたが、ダメでした)
ガソリン以外の水分が入っていた証拠があったことをお見せしました。
テストキャブと元のキャブを付け比べて運転し説明しました。
状況より、真ちゅう製のメインノズルが緑色っぽく変色していたので
塩水(海水)と推測するが、真水か塩水かはわからないが
・タンク内の粒粒の状況から真水か塩水の可能性が高い。
・真ちゅうの変色やチャンバー底にこびり付いていたざらざら
した乾いた痕跡から、私は海水と推測する。
・海水だとしたら、キャブレタークリーナーで清掃しても
塩の結晶は溶けないので、何度やっても清掃が完了しない
理屈と一致する。
・万が一塩水でないとしても、入っていたガソリン以外
である水分のせいでキャブレターが故障した。
・買ってすぐだが、組み立てミスや部品の不良などの
メーカーにクレームを言うような不具合は現時点では
見つかっていない。
などなど、ご説明しまし・た・・・・・
修理は、起っている不具合を見つけて取り除いて
再び使えるようにすることだと思っています。
見つけた不具合は真理であり、正義でもあります。
たまに私を論破すればメーカークレームになると
手を変え品を変え人を加え「どうなんだ」という方が
昔はたくさん居られましたが、私は状況証拠を慣らべて
不具合の状況を正義の心でお伝えするだけです。
私にとっては、お客様の事がめっちゃ大切なのと同じぐらい、
メーカーさんも大切です。
これも真理なのです・・・
わかるかな~
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